① なぜ事前整理が必要なのか

IT 会社に「Excel をシステムにしたい」とだけ伝えると、見積はおおむね 2 種類に分かれます。

  • 詳細ヒアリング型:数回の打ち合わせ後に見積提示(2〜 4 週間かかる)
  • 概算型:ざっくり「〜 500 万円」「〜 1,000 万円」のレンジ提示

どちらにしても、事前整理が不足していると見積は上振れ(保守的に多めに)積まれます。IT 会社から見ると「わからないリスク = 工数バッファで吸収」が原則だからです。

以下 5 項目を整理しておくと、見積は平均 2〜 3 割タイトになり、提案内容も実務に即したものになります。

② チェック 1:対象業務の 1 日・1 月の流れ

CHECK 01
対象業務が「誰の、どのタイミングで、何回」行われるか

1 日の流れと1 月の流れを、担当者ごとに時系列で書き出します。詳細な業務フローではなく、ざっくりでかまいません。

▼ 例(受発注業務)
朝 9 時:営業がメールで届いた注文を Excel に転記 → 10 時:倉庫担当が在庫表(別 Excel)で引当 → 11 時:納期回答メールを顧客に送信 → 月末:売上集計 Excel で合算 → 翌月 1 日:売掛金 Excel で回収管理

③ チェック 2:誰が何に困っているか

CHECK 02
現場の 3 人以上から「困りごと」を聞く

経営陣が「システム化すべき」と思っている理由と、現場が「使いやすければ助かる」と思っている理由は、しばしばズレます。両方を書き出すことが重要です。

▼ 例
経営:「月末の売上集計に 2 日かかる」「仕入れと売上の整合がリアルタイムで取れない」
営業:「Excel の在庫表が古くて、お客様に誤った納期を回答した」
経理:「請求書と注文書の照合が目視で、月 10 時間かかっている」

④ チェック 3:データ項目と件数

CHECK 03
主要な Excel 項目と、年間の件数を把握する

Excel の列(項目)を一覧化し、データの件数・増加ペース・変化頻度を押さえます。これはシステムのデータベース設計に直結します。

▼ 例(受発注)
注文テーブル項目:注文日/顧客 ID /品目 ID /数量/単価/納期/備考(全 10 列)
年間注文件数:3,500 件(月平均 300 件)、増加率年 10%
品目マスタ:800 品目、月 10 品目入れ替わり
顧客マスタ:120 社、年 20 社増

⑤ チェック 4:関連する社内外のシステム

CHECK 04
他にどんなシステムがあり、連携は必要か

既存の会計ソフト、顧客管理(CRM)、EC サイト、グループウェア、メール — — システム化対象業務と関連する既存システムをリストアップし、連携要否を整理します。連携仕様の有無(API ・ CSV ・手動 CSV インポート)も確認します。

▼ 例
会計ソフト:弥生会計(連携必要:月 1 回 CSV 出力)
CRM:Salesforce(連携不要)
EC サイト:Shopify(連携必要:注文自動取り込み希望)
メール:Gmail(連携不要、通知のみ)

⑥ チェック 5:予算感とスケジュール

CHECK 05
予算のレンジと、いつまでに動かしたいか

「予算は秘密、ベストな提案を」はおすすめしません。予算を伝えないと、IT 会社は無駄に豪華な見積を出してきがちです。レンジで伝えるのが現実的です。

▼ 例
予算レンジ:初期 300〜 700 万円、月額保守 5〜 15 万円
希望スケジュール:4 月導入開始、10 月本番稼働
補助金活用:IT 導入補助金申請予定(採択されない場合は規模縮小)

まとめ:整理した資料は IT 会社に共有する

以上 5 項目を A4 で 3〜 5 枚程度にまとめた資料を、見積依頼時に IT 会社に共有してください。

この資料があるかないかで、IT 会社は 10 分で以下のことを判断できます:

  • このプロジェクトの規模感(100 万円級か 1,000 万円級か)
  • 既存 Excel の複雑さ・整理度合い
  • 社内のプロジェクト推進力(現場巻き込みの状況)
  • 自社として提案できるか・できないか

結果、見積は精度が上がり、提案品質も上がり、価格は適正化します。

POINT

合同会社 SKY では、お問い合わせ時にこの 5 項目のうち何個か書いてくださっているだけで、初回のご提案精度が大きく変わります。整理の仕方からご一緒に進めることも可能ですので、お気軽にご相談ください。